亡くなった親の家を売却したい、まず必要な手続きは?
亡くなった親が所有していた家を売るには、『相続』をしなければ売ることができません。
相続をするには次の5つの方法があります。
1.相続をする5つの方法
➀法定相続
➁遺言
➂遺産分割
④調停
⑤裁判(審判)
①法定相続
法定相続とは民法で定められた法定相続人(民法886条以下)が定められた通りの割合(民法900条)で相続することです。
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『法定相続分』は次のようになります。
配偶者(相続人) | 直系卑属、子供や孫 (第1順位) |
直系尊属、親や祖父 (第2順位) |
兄弟姉妹 (第3順位) |
1/1 | なし | なし | なし |
1/2 | 1/2 | あり | あり |
2/3 | なし | 1/3 | あり |
3/4 | なし | なし | 1/4 |
配偶者(妻または夫)は常に相続人になります。
先順位の相続人がいれば次順位の相続人(候補)は相続人になれません。
同じ順位の相続人がいれば均等に相続します。
また、被相続人(亡くなった人)が死亡した時に子供がすでに亡くなっている場合、その子(孫やひ孫)がいれば亡くなった子供に代って相続人になります(代襲相続)。
直系尊属(親)も同じように代襲相続がありますが、兄弟姉妹についてはその子供で終わります。
②遺言
被相続人の意思によって、法定相続分以外の割合で相続させることができます。
ただし、相続人には『遺留分』という権利があり、法定相続分の半分までは確保する権利があります。これを侵す遺言も有効ですが、遺留分を侵された相続人は取り戻す請求をすることができます。
遺言をする方法では『自筆証書遺言』または『公正証書遺言』が一般的です。
③遺産分割
相続人の間で法定相続分以外の割合で相続する方法です。相続人の間で話し合いにより決めます。
例えば自宅は長男が相続し、預貯金は二男が相続するような場合です。遺産分割は一度きりで分割のやり直し(再分割)は贈与になるので注意が必要です。
なお、遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合でも贈与税は課されません。
④調停
相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合は『調停』を行なうことになります。
⑤裁判(審判)
調停を行ってもまとまらない場合には審判手続きに自動的に移行します。
売却のための遺産分割
①売買代金の取り分の割合の共有割合で相続する
不動産を売却して、名義人と異なる人が売却代金を受け取れば贈与になります。
このため遺産分割協議を行なう場合には、売却代金を受け取る人の名義に相続登記を行なう必要があります。
ただし、名義人が多数になれば書類の準備、連絡、売買代金のやりとりの日程の調整など、手続きが非常に煩雑になる可能性があります。その煩雑さを避けるための便宜的な方法が次の『換価分割』です。
②換価分割
売却手続きを簡単にするために仮に1人の名義にしておいて、売却代金を分配する便宜的な方法です。
以下の国税庁の質疑応答は『調停』に関するものですが、相続人間の遺産分割協議でも可能だとされています。ただし、予期しない贈与税を課されないために分割協議書には分配する額(または割合)をきちんと記載しておく必要があるので注意が必要です。また税理士等の専門家に相談しておくと安心です。
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